ColumnUP DATE: 2019. 05. 29

連載高級時計を巡る旅

第11回:「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」が描く未来図

 26年ぶりとなるAUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ)による
待望の新コレクション「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」。
伝統と前衛が共存する話題作は、かつて「ロイヤル オーク」が“ラグジュアリースポーツ”
というジャンルを切り開いたように、時代を超越する定番になりうるか。

Photo: Masahiro Okamura (CROSSOVER) / Art Direction: Takaaki Yagi (FORM::PROCESS) / Text:Tetsuo Shinoda / Tsuneyuki Tokano
※こちらの特集は、時計専門サイト「Gressive(グレッシブ)」での連載コラム『YOSHIDAで体験する、高級時計への旅』の記事を再編集したものです。

長い沈黙を破り登場した新たなアイコンウォッチ

 毎年、数多くの“新作”が発表されるが、その多くはアップデートやバリエーションの追加である。腕時計の時代が始まって1世紀以上が過ぎ、ありとあらゆるデザインや機構が開発されてきたのだから、“完全に新しいモノ”を作るのは不可能に近いのだ。しかしオーデマ ピゲは、最後の参加となるS.I.H.H.にて完全なる新作「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」を発表した。これはAUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ)の歴史を内包しつつ、磨いてきた創造性や時計技術をしっかりと取り入れた、新たなるアイコンウォッチなのだ。

「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ・オートマティック」の文字盤。緩やかにカーブしている風防の効果も相まって、革新的な時計でありながら柔らかなニュアンスが加わっている。ロゴやインデックスは立体的に仕上げており、細部まで細やかに作られている。

1917年に完成したレディスウォッチは、ダイヤモンドをセッティングしたエレガントな八角形ケースを持つ。

 この新作を語る上で、まずはオーデマ ピゲの創造性について考えたい。オーデマ ピゲといえば、“ラグジュアリースポーツ”というジャンル自体を作ってしまった傑作「ロイヤル オーク」が有名だ。この時計のデザイン的特徴は八角形ベゼルにあるのが、実はオーデマ ピゲのおける八角形ケースの歴史は、1917年まで遡ることができるのだ。

 こういった創造性は、その後も見ることができる。戦後になって腕時計の需要が急増すると、コンテンポラリーなモダンデザインを駆使した時計を作り、実用品の範疇を超えた魅力や価値を提案するようになる。なぜこのようなことが可能になったというと、そもそもかつてのオーデマ ピゲというブランドは、年平均で1600本程度しか時計を作らない極めて少量生産のエクスクルーシブブランドであったから。そのため市場の動向ばかりを意識せず、自らの信念に沿って時計作りに邁進できるからである。
 このような我が道を行く独創性の積み重ねが、1972年の「ロイヤル オーク」へと結びつき、そして2019年の「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」へとたどり着いたのだ。

 では「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」とは、どういうコレクションなのか?それを端的に示すキーワードが「Dare(追求心)」と「Evolve(進化)」である。オーデマ ピゲの創造性は、決して止まることなく前進する。それが「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」である。ケースサイドから見えるのは、オーデマ ピゲのアイコンである八角形ピース。それをクラシカルなラウンドケースで挟んだ立体的な構造になっている。八角形ピースはサテンとポリッシュで磨き分けられており、その様子は中空型のラグから見通すことができるのだ。さらにラウンドケースもフラットではなく、ゆるやかにカーブしているので、サファイアクリスタルガラスの光の屈折が時計に深みを与えている点にも注目して欲しい。

長方形と円型を融合させた独創的な時計は1961年に完成。ケースサイドはラグと一体化しており、モダンな構造美が感じられる。

 ちなみにこの「CODE 11.59」という意味深な名称には、オーデマ ピゲの“DNAコード”を内包したモデルだというメッセージが込められており、“11.59”というのは、新しい一日が始まる直前である「11時59分」を意味している。日本国内については、今年は銀座と大阪のオーデマ ピゲ ブティックのみで販売されるというのも今までにない戦略。何から何まで新しい「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」への期待は高まるばかりだ。

「CODE 11.59」のケースサイド。繊細な技術で大胆な構造を作り上げている。

サファイアクリスタル製の風防が作り出す、不思議な光の効果に注目。

3つの注目モデルの実力を徹底解剖

 「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」のファーストコレクションは、ケースや素材違いを含めると、全13モデルがラインナップする。その中からコレクションの中核を担う3針、クロノグラフ、フライング トゥールビヨンについて検証していく。

CASE.1現代的なウォッチライフに
寄り添う3針
 全コレクションの中で最もシンプルなのが、センター3針の「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ・オートマティック」。まず注目すべきはダイヤル。深みのある光沢感を作っているのはラッカー素材であり、ブラックとブルー、ホワイトの3種類が用意されている。ちなみにケースは、ホワイトゴールドとピンクゴールドの2種類で展開している。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ・オートマティック

■15210BC.OO.A321CR.01 ■41mm ■18Kホワイト
■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水 ■¥3,024,000(税込) ※価格は2019年9月現在のものです

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新開発のCal.4302。フリースプラング式テンワなどの基本的な仕様は変わらないが、
全てのスペックを向上させ、体幹が強いムーブメントとなっている。

 搭載するムーブメントは新開発のCal.4302だ。これまでのオーデマ ピゲには、3針ムーブメントの名機Cal.3120が存在していたが、Cal.4302はその全てをアップデイトした。具体的には振動数が毎時28,800振動(Cal.3120は21,600振動。以下同)になり、より精度の安定性が増した。さらにパワーリザーブを約70時間へと伸ばしており、週末は別の時計を使うという現代的なウォッチライフに対応したスペックになっている。

 ちなみにムーブメントのサイズは、直径が4mmも拡大しているが、全体的なケースサイズは定番「ロイヤル オーク オートマティック」と同じ、直径41mmをキープしている。

CASE.2ドレッシーな雰囲気を纏う
注目のクロノグラフ

 人気が出そうなのは「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ・クロノグラフ」だろう。実はオーデマ ピゲでは、「ロイヤル オーク」や「ローヤル オーク オフショア」のようなスポーツモデルにはクロノグラフが存在していたが、ドレッシー系クロノグラフはない。しかしそもそもクロノグラフは、医師や将校など知的階層のためのドレスウォッチというのが本流。ゆえに、ドレッシーな「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ・クロノグラフ」の誕生に、拍手を送る人は多いだろう。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ・クロノグラフ

■26393OR.OO.A002CR.01 ■41mm ■18Kピンクゴールドケース
■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水 ■¥4,806,000(税込) ※価格は2019年9月現在のものです


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 このモデルもダイヤルはラッカー仕上げで、ブラックとブルーを用意。ケース素材はホワイトゴールドとピンクゴールドの2種類である。横配置のインダイヤルは、時計デザインにどっしりとした印象を与えており、横に並ぶ12時間と30分の積算計を大きくすることで、計測機器としての価値を高めているのもポイントだ。なお搭載するムーブメントは、新開発のCal.4401。こちらも振動数は毎時28,800振動で、パワーリザーブは約70時間にすることで、さらに使いやすくなっている。

Cal.4401は、コラムホイールや垂直クラッチなど、時計業界のトレンドである
“クラシックで味わい深い”を踏襲しており、パーツの動きも楽しめる。

CASE.3普段使いにも申し分ない
トゥールビヨン
 最後に取り上げるのは、「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ・フライング トゥールビヨン」。このモデルはブランドでは初となる“センターローター式のフライング トゥールビヨン”で、搭載するのは薄型設計のCal.2950。ケースの厚みを11.8mmに抑えており、装着感などを犠牲にしていない。しかもセンターローター式になったことで巻き上げ効率が高まり、常に強いトルクをキープできるのは大きなメリットだ。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ・フライング トゥールビヨン

■26396BC.OO.D321CR.01 ■41mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水 ■価格はお問い合わせください

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 ちなみにフライング トゥールビヨンというのは、回転するキャリッジを裏側からのみ支えることで、機構が宙に浮かんでいるように見える複雑構造のタイプを指す。見える部分が多いため、より丁寧にパーツに仕上げを行う必要があるため、オーデマ ピゲの技と美の両方を味わえる時計に仕上がっているのだ。ちなみにダイヤル素材は、職人が一枚ずつ手焼きして仕上げる「グランフー」を採用。スモークブルーと命名したグラデーションカラーも必見である。

前から支える支柱がないため、トゥールビヨン機構が浮いているように見えるのが、
フライング トゥールビヨン機構である。

ホワイトゴールドモデルは、そのクールな佇まいを生かすため、ムーブメントパーツにロジウムコーティングを施し、
モノトーンの世界を作っている。もちろんトゥールビヨン機構もモノトーン。細部までこだわっている。

 この他にも、永久カレンダー、スケルトン型トゥールビヨン、ミニッツリピーターのスーパーソヌリなどがラインナップする「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」。その全てを知るためには、まずは東京と大阪にある オーデマ ピゲのブティックに足を運んでもらいたい。

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未開の地を切り開く力強さが宿るコレクション

 かつての「ロイヤル オーク」然り、現代において「定番」と呼ばれるプロダクトは発表当時に何かと物議を醸すケースが多い。前衛的なデザインとはそのようなものなのだろうし、「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」のファーストコレクションは、近い未来、傑作として語り継がれる可能性を秘めたパワーが感じられる。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ・オートマティック

ホワイトゴールド製の三針モデル。艶やかなブラックラッカーのダイヤルが、高級感を加えている。

■15210BC.OO.A002CR.01 ■41mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水 ■¥3,024,000(税込) ※価格は2019年9月現在のものです

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CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ・オートマティック

ピンクゴールド製の3針モデル。ブラック×ピンクゴールドの配色で、色気ある腕元を作ってくれる。

■15210OR.OO.A002CR.01 ■41mm ■18Kピンクゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水 ■¥3,024,000(税込) ※価格は2019年9月現在のものです

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CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ・クロノグラフ

端正なバランスで構築されたクロノグラフ。新型の自社製ムーブメントCal.4401を搭載する。

■26393BC.OO.A002CR.01 ■41mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水 ■¥4,806,000(税込) ※価格は2019年9月現在のものです

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CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ・パーペチュアルカレンダー

オーデマ ピゲが得意とする永久カレンダー機構を、キラキラと光るアベンチュリンダイヤルを組み合わせた。暦は星や月の動きから導き出された。そんなロマンティックな歴史を語るモデルだ。

■26394OR.OO.D321CR.01 ■41mm ■18Kピンクゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■20m防水 ■¥8,370,000(税込) ※価格は2019年9月現在のものです

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CODE 11.59
バイ オーデマ ピゲ・ミニッツリピーター・スーパーソヌリ


澄み切った美しい音色を、大きな音で奏でるミニッツリピーターウォッチ。しかも防水性能の確保しており、日常的に楽しめる。ダイヤル素材はブルーエナメルで、グラデーションも美しい。

■26395BC.OO.D321CR.01 ■41mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■20m防水 ■価格はお問い合わせください

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CODE 11.59
バイ オーデマ ピゲ・トゥールビヨン・オープンワーク


時計技術の粋を美的感覚で表現したモダンスケルトンウォッチ。6時位置にはトゥールビヨンが収まり、優雅に時を刻む様子を堪能できる。

■26600OR.OO.D002CR.01 ■41mm ■18Kピンクゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■手巻き ■30m防水 ■価格はお問い合わせください

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オーデマ ピゲ ブティック 大阪

住所/大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-6-9 心斎橋福穂ビル
電話/06-6214-5401
営業時間/10:00~20:00
休業日/年中無休(1月1日~1月3日を除く)

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YOSHIDA 東京本店
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