ColumnUP DATE: 2019. 02. 12

連載パテック フィリップへの誘い第4回:世界で最も美しいクロノグラフ vo1.1

180年近い歴史を持つ、世界最高峰の時計メーカーPatek Philippe(パテック フィリップ)。

その正規販売店であり、世界を代表する時計店 YOSHIDA(ヨシダ)が、
さまざまな角度からパテック フィリップという至高のマニュファクチュールの魅力を紐解いていく本連載。

第4回は、両社が最も得意とするコンプリケーションの中から、別格の人気を持つクロノグラフについて、
歴史的背景から注目モデルにいたるまで、多角的な視点でその魅力を解き明かしていきます。

Photo: Masahiro Okamura (CROSSOVER) / Art Direction: Takaaki Yagi (FORM::PROCESS) / Edit & Text: Tsuneyuki Tokano

クロノグラフの黎明期とパテック フィリップの歩み

 パテック フィリップが今日、“コンプリケーテッド・ウォッチの巨匠”として不動の地位を手にしていることは、腕時計に明るい方なら誰もが知るところ。

 その中心に立つクロノグラフは、永久カレンダー、ミニット・リピーターらと同様、同社がいつの時代も大きな関心を寄せている極めて重要な複雑機構のひとつだと言えます。

 これまでパテック フィリップは多くのクロノグラフを製造しながら、様々な偉業を成し遂げてきました。事の始まりは、今から150年以上前まで遡ります。

1856年に製作されたNO.10 051 は、パテック フィリップが手がけた最古の懐中時計クロノグラフのひとつ。この頃はまだフライバックの機能が存在しなかったため、計測をする度に鍵を用いて表示をリセットする必要があった。

 クロノグラフの分野においてパテック フィリップが頭角を現したのは懐中時計全盛の時代。その当時、クロノグラフ専用のムーブメントを自社で開発・製造できるのはごく一部のメーカーに限られており、エボーシュ(素材ムーブメント)を用いるのが一般的でした。

 パテック フィリップがそこでのパートナーに選んだのは、1880年にジュネーブで設立されたVictorin Piguet(ヴィクトラン・ピゲ)。このコンプリケーション・ムーブメントの開発・製造に特化したメーカーと親密な関係にあったことから、パテック フィリップは極めて複雑なエボーシュの供給を確保することができたのです。さらには、自社工房にて、面取り、ペルラージュ、コード・ド・ジュネーブ、ポリッシュ仕上げを行うことで“独自のクオリティを完成させる”という答えを導きました。

圧倒的な資産価値を持つ、ステータスシンボル

2016年の11月12日、フィリップス・ジュネーブにて出品された、1944年製の永久カレンダー搭載クロノグラフRef.1518。
腕時計及びステンレススチール製の時計では史上最高額(現在は第2位)となる1,100万2,000スイスフランで落札。
パテック フィリップのクロノグラフが持つ圧倒的な資産価値を物語る出来事だった。

 時は流れ、世界的な需要の拡大とともに、クロノグラフは小型化を辿り、懐中時計から腕時計の時代へと移ります。

 1923年、パテック フィリップはのちに時計史に刻まれる、腕時計でのスプリット秒針付クロノグラフの開発に成功します。これを皮切りに1927年に入ると、パテック フィリップはラウンドケース以外にも、スクエアやレクタンギュラー、トノー型、クッションケースというように、さまざまなクロノグラフの製造に着手していきます。

懐中時計の面影を残す、1923年のスプリット秒針クロノグラフ。

 ムーヴメントにおいては、スプリット秒針が使われないモデルでは、リュウズに組み込まれたプッシュボタンを押すことにより、スタート、ストップ、リセットという一連の動作を行うモノプッシュボタン式を採用。クロノグラフの制御に用いるコラムホイールはカバーで覆われており、この仕様はパテック フィリップのクロノグラフを象徴するスタイルとして現代まで引き継がれています。また、懐中時計の時代と同じように、エボーシュに独自の仕上げを施していたため、製造本数が極端に少なかったことでも知られています。

 その後、1930年代。パテック フィリップは1932年に、創業者一族からスターン兄弟に経営権が引き継がれるという大きな転機とともに、クロノグラフでの黄金期を迎えます。

 市場調査の結果、最大規模の市場であったアメリカでの腕時計クロノグラフの需要をいち早く見出したスターン兄弟は、技術部長ジャン・フィスターとともにエボーシュの研究を進め、ついにたどり着いたのが、Valjoux(ヴァルジュー)のCal.23VZでした。パテック フィリップは、このムーブメントの可能性をさらに広げるために、緩急針を微調整に可能にするスワンネックを加えるなどして改修を行います。こうして完成された独自のクロノグラフ専用ムーブメントは1939年から52年間にもわたって採用され、数々のクロノグラフの心臓部を支え続けました。

1934年に発表されたRef.130。
後続の腕時計クロノグラフの指針となった記念碑的なモデル。
パテック フィリップのクロノグラフ人気を不動にした伝説的モデルRef.2499。
ムーブメントはCal.13''' CH Qを搭載。

 この伝説を受け継ぐ後継機が、パテック フィリップの「コンプリケーション・ムーブメントの代名詞」としても名高いNouvelle Lémania(ヌーヴェル・レマニア)のCal.CH 27-70です。例外なくパテック フィリップ独自の厳格な基準に基づき改良が加えられた手巻きキャリバーは、特許取得のジャイロマックス・テンプと緩急針を持たないフリースプラング・ブレゲ髭ゼンマイの組み合わせなどの最先端の技術とパテック フィリップのクロノグラフが築き上げた伝統を見事なまでに融合させました。性能の面で特筆すべき点は、エボーシュに対して10時間以上も上回る連続駆動を可能にしたことが挙がります。

 1986年には、「世界で最も美しいクロノグラフ・ムーブメント」とまで評される永久カレンダーを取り付けたCal.CH 27-70 Qが登場。このキャリバーを搭載したRef.3970らのモデルは、あまりの人気と希少性の高さから入手は困難を極めました。今では優れた資産価値を持つコレクターズピースとして世界的に認知されています。

Cal.CH 27-70 Qを搭載するRef.5970。
2004年から2009年までの5年間というわずかな期間製造された人気モデル。

新しい時代を創る、自社製キャリバーが誕生

 21世紀を迎え、パテック フィリップは長年温め続けてきた自社開発・製造によるクロノグラフ・ムーブメントを次々と発表します。

 記念すべき第一弾は、2005年に登場した超薄型のシングルプッシュボタン・スプリット秒針クロノグラフであるRef.5959に搭載されたCal.CHR 27-525 PS。この手巻きキャリバーは、パテック フィリップ初の自社開発・製造のクロノグラフ・ムーブメントであると同時に、世界で最も薄いコラムホイール式スプリット秒針クロノグラフであったことから大きな話題を集めました。

エボニーブラック・オパーリン文字盤とローズゴールドのケースが絶妙にマッチする、シングルプッシュボタン・スプリット秒針クロノグラフ。

5959

■33.2mm ■18Kローズゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■手巻き(Cal.CHR 27-525 PS) ■非防水

 それに続き、2006年に登場したCal.CH 28-520 IRMは、これまでの文脈からすると意外にも感じられる、年次カレンダー搭載クロノグラフRef.5960/01に向けた自動巻きムーブメントであったことが、世界中の時計愛好家やジャーナリストたちに衝撃を与えました。

 2009年には、フランスはパリのヴァンドーム広場にあるパテック フィリップ・サロンの新装オープンを記念して、コラムホイール式手巻きムーブメントCal.CH 29-535 PSを発表。これは時計愛好家たちの念願であったCal.CH 27-70の後継機に該当するこのキャリバーは、パテック フィリップの手巻きクロノグラフの伝統を最も忠実に受け継ぐ名機として高い評価を得ています。

現代におけるクロノグラフのスタンダード

 コレクター垂涎のグランド・コンプリケーションから実用性に長けた自動巻きのコレクションまで、様々なパテック フィリップのクロノグラフが一堂に集う「YOSHIDA 東京本店」から、“クロノグラフの新基準”と呼ぶに相応しい3つのコレクションを紹介します。

CASE.1手巻きクロノグラフの現在形
 スクエア型のプッシュボタンと手巻きムーブメント
Cal.CH 29-535 PSの搭載からも分かるように、Ref.130からはじまった2レジスターのクロノグラフの伝統を色濃く反映させたモデルがRef.5170です。ローズゴールド、ホワイトゴールド、プラチナの3種類のケースで展開され、現代的なライフスタイルにフィットする39.4mm径のケースサイズも魅力のひとつ。

5170

■39.4mm ■18Kローズゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■手巻き(Cal.CH 29-535 PS) ■30m防水

商品詳細はこちら 写真左 写真右

5170P

■39.4mm ■プラチナケース ■アリゲーターストラップ
■手巻き(Cal.CH 29-535 PS) ■30m防水


商品詳細はこちら

CASE.2モダンな年次カレンダー搭載モデル
 2006年に登場した年次カレンダー搭載フライバック・クロノグラフでは初となる、ホワイトゴールド製のケースを採用したモデル。ヴィンテージからインスパイアされたというギョウシェ装飾入りのプッシュボタン、カジュアルなカーフスキンストラップなど、このモデルならではのはユニークな意匠が随所で見受けられます。

5960/01
■40.5mm ■18Kホワイトゴールドケース ■カーフスキンストラップ ■自動巻き(Cal.CH 28-520 IRM QA 24H) ■30m防水

商品詳細はこちら
Cal.CH 28-520 IRM QA 24Hは、年次カレンダー搭載モデル用のクロノグラフ専用ムーブメントのひとつ。Cal.CH 28-520 QA 24Hとの違いは、12時間計一体型サブダイヤル、パワーリザーブ表示などが該当する点である。

CASE.3伝統と革新が共存するクロノグラフ


 Ref.5960/01と同じ年次カレンダー搭載フライバック・クロノグラフでありながら、かなり趣が異なるRef.5905P。現代的な年次カレンダー特有のデザインと古典的なスクエア型のプッシュボタンが見事に調和する意欲作。ケース素材はプラチナのみ。この他にブラックの文字盤が展開します。

5905P
■42mm ■プラチナケース ■カーフスキンストラップ
■自動巻き(Cal.CH 28-520 QA 24H) ■30m防水


商品詳細はこちら

この記事をシェアする

  • Facebook
  • Twitter

YOSHIDA 東京本店
住所/東京都渋谷区幡ヶ谷2-13-5 Google Map
電話/03-3377-5401
営業時間/10:00~20:00
休業日/年中無休(1月1日~1月3日を除く)